3 肝臓移植
 我が国初の生体肝臓移植が幼児例であったように,我が国の生体肝臓移植の歴史は小児肝臓移植の歴史と言っても過言ではない.その後,提供できる肝臓の領域が拡大されるとともに,生体肝臓移植の適応が拡大した.

 さまざまな統計から我が国では毎年200~ 300例の小児が肝臓移植の適応であると報告されており,最近では毎年120例前後の生体肝臓移植と1~ 2例の脳死肝臓移植が行われている.

 2009年末までに2,080例の18歳未満の小児に生体肝臓移植が行われ,ドナーは1,979例が両親ですべて親族である633).原疾患は,胆汁うっ滞性疾患1,507例,急性肝不全178例,代謝性疾患179例,悪性新生物57例,肝細胞性疾患45例などであった.内,270例のABO不適合移植が行われている.1,10及び20年生存率は各々87.9,82.2および78.6 % で,18歳以上の1,10及び15年生存率各々80.5,65.4および50.6%より有意に良好である.一方,同時期に10例の18歳未満の小児に脳死肝臓移植が行われ,原疾患は胆汁うっ滞性疾患9 例,急性肝不全1例であった.

 脳死臓器提供においては,摘出した肝臓を分割して2人のレシピエントに移植することも可能で,その片方が小児に移植されることが多く,成人に比して小児の方が
短い待機期間で移植されることが多い.

次へ
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)