核種名検査方法標準成人投与量1歳(成人の1/4量)5歳(成人の1/4量)10歳(成人の1/2量)15歳(成人の3/4量) 成人
Tc-99mTf 安静/負荷1000MBq 11 6 7 7 8
Tc-99mTf 安静555MBq 6 3 4 4 4
Tc-99mMIBI 安静/負荷1000MBq 13 7 9 9 9
Tl-201 安静/負荷74MBq 52 32 34 17 16
F-18FDG 370MBq 8.8 4.6 6.7 7 7
I-123MIBG 111MBq 1.9 1 1.4 1.4 1.4
Tc-99mMAA 185MBq 2.9 1.6 2.1 2.2 2
2 心臓核医学検査用薬剤と放射線被ばく
 国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告によれば,放射線の使用は必ず損失より利益の大きいもののみに使用することとしている.放射線防護と管理が十分に行われている医療放射線被ばくは,低線量放射線被ばくであり確率的影響への配慮が重要である.確率的影響では,組織・臓器障害のしきい値が存在せず,どれだけの医療放射線被ばくであれば100%被検者への損失を生じないという設定が不可能である.そのため診断可能かつ良好な画像作成のために,最小投与量の計画だけでなく,実際にどれだけの放射線被ばくが生じているかの概算量を知らなければならない.また,小児の場合は同様量の投与であっても成人と比較して,放射線被ばくがどれだけ増加しているかを換算する必要がある608),609)表46に心臓検査のための核医学検査用薬剤の標準成人投与量における年齢別実効線量(mSv)を示す.成人に比べ投与量の少ない乳幼児で実効線量が多いことが示されている610).このように小児に対する放射線被ばくは,成人値と異なることを改めて認識しなければならない.心筋血流イメージングに使用する塩化タリウム(以下Tl-201)は,日本循環器学会の心臓核医学検査ガイドライン2010年改訂版611)で虚血性心疾患における虚血の存在診断としての指針クラスI であり,心筋血流イメージングでのエビデンスレベルは高いが,テクネシウム心筋血流製剤の
Technetium-99m tetrofosminとTechnetium-99m MIBI の2 核種に比べ半減期が非常に長いため実効線量(mSv)が多い.小児におけるTl-201は,その使用利益が放射線被ばくの損失を上回るかを十分に考慮して使用されることが望まれる.

・テクネシウム心筋血流製剤による小児の心筋血流イメージング評価(指針クラスIIa´)
表46 年齢別の放射線被ばく量(mSv)*1
* 1実効線量として
     近藤千里.小児心血管画像検査に伴う放射線被曝.日本小児循環器学会雑誌2007年23号の438ページTable5から引用改変
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)