対象抗菌薬投与法
経口投与可能アモキシシリン50mg/kg(上限2g)
処置1時間前経口
経口投与不可アンピシリン50mg/kg(上限2g)
処置30分以内に静注
ペニシリンアレルギーがある場合
1.クリンダマイシン20mg/kg(上限600mg)
処置1時間前に経口
2. セファレキシンあるいはセファドロキシル
50mg/kg(上限2g)
処置1時間前に経口
3. アジスロマイシンあるいはクラリスロマイシン
15mg/kg(上限500mg)
処置1時間前に経口
ペニシリンアレルギーがあり,経口投与不可
1.クリンダマイシン20mg/kg(上限600mg)
処置30分以内に静注
2.セファゾリン
3.セフトリアキソン
50mg/kg(上限1g)処置30分以内に静注
9 抗菌薬予防,歯科治療(表41)
米国のガイドライン554)は血中濃度,菌血症の頻度という観点からアモキシシリンの単回経口投与を推奨している(クラスIIa,レベルB).アモキシシリンは消化管
からの吸収が他のペニシリン製剤に比較し,良好であり,より高い血中濃度が達成され長く維持される.処置1時間前に投与する.CHD児の口腔内からPcG高度耐性株が28.3%分離されたとの報告がある556).しかし,日本における小児を中心とした全国調査では,ペニシリン低感受性株は少数であった557).日本循環器学会と日本小児循環器学会のガイドライン538),540)も従来どおり,アモキシシリンの単回投与を標準的予防法としている(クラスIIa,レベルB).ペニシリンアレルギーではセファレキシン,セファドロキシル,クリンダマイシンなどが選択肢となる(クラスIIa,レベルC).クラリスロマイシンやアジスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬も選
択肢のひとつになるが,マクロライド耐性株の出現に注意が必要である.経口投与が難しい場合には,アンピシリンの静注を行う.
表41 歯科,口腔,呼吸器の手技,処置に対する抗菌薬予防投与法
投与量は,多数例での証拠に基づいていないため,体格,体重に応じて減量可能と思われる.
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)