起炎菌抗菌薬投与期間
血液培養陰性(術後例) バンコマイシン±ゲンタマイシン
バンコマイシン:6~8週間
ゲンタマイシン: 2 週間
血液培養陰性(非術後例) セファゾリン+ゲンタマイシン±ペニシリンG
セファゾリン:6~8週間
ゲンタマイシン:2 週間
ペニシリンG: 6~8週間
6 初期治療(エンピリック治療)
 初期治療(エンピリック治療)(表40)

 初期治療で大切な点は,広範囲の病原微生物をカバーできる抗菌薬を選択することと,可能な限り起炎菌を推定することである.歯科治療後では,口腔内のレンサ球菌属を推定し,人工弁使用例,心臓手術やカテーテル検査等外科処置後ではブドウ球菌属を推定する535),549),550).また,アトピー性皮膚炎を有するCHD児は,ブドウ球菌による罹患の危険性が高い551).中耳炎,肺炎などが先行し,下気道感染症がある場合には,S. pneumoniae(肺炎球菌)やH. influenzae(インフルエンザ菌)を考慮する.MRSAやメチシリン耐性S. epidermidis(MRSE),P. aeruginosa(緑膿菌),真菌感染は,周術期や長期間にわたり抗菌薬投与を受けている院内発症例で考慮する.
表40 血液培養陰性例(エンピリック感染)に対する抗菌薬療法
小児の1日投与量(腎機能正常な場合);
ペニシリンG:200,000~300,000 u/kg/日,分4~6,ゲンタマイシン:3mg/kg/日,分3,バンコマイシ
ン:30~40mg/kg/日 分2~4,セファゾリン:100mg/kg/日,分4,セフトリアキソン:75~100mg/
kg/日,分2,アンピシリン:200~300mg/kg/日,分4,リポ化アムホテリシン B:3.0~5.0mg/kg/日
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)