肺動脈性高血圧症(PAH)の治療においては最近20年間で劇的な進歩がみられる.2004年に米国胸部医師会議(American College of Chest Physicians: ACCP)からエビデンスに基づくPAH診療ガイドラインが発表され418),さらに2007年6月に一部が改変された419).治療の基本をなすのは,抗凝固薬,利尿薬,酸素投与などの一般的支持療法と,PGI2-cAMP経路,一酸化窒素(NO)-cGMP経路(ホスホジエステラーゼ(PDE)5 阻害薬),エンドセリン(ET)経路阻害(ET受容体拮抗薬)の血管内皮・平滑筋を標的とした3つの特異的治療薬である(図15).小児においては必ずしも十分なエビデンスはないが,成人例での有効性や安全性を参考に臨床応用しているのが現状である.