2 腎血管性高血圧
①疫学
5~ 10%は腎血管性高血圧によるといわれている.成人の腎血管性高血圧では動脈硬化性病変が基盤となるのに対し,小児では,線維筋異形成や神経線維腫症1型,大動脈炎症候群,Williams症候群などが背景にある場合が多い.また新生児期の臍動脈カテーテル留置に伴う腎動脈血栓症の場合もある384).
②薬物療法の実際
レニン-アンジオテンシン系によらない降圧薬(Ca拮抗薬,β遮断薬,利尿薬等) による治療に抵抗する事が多く,まずACE-I やARBが考慮される.ただし両側性の腎血管病変がある症例においてはACE-I やARBの使用によるGFRの低下のリスクが高く,その使用は避けるべきである384)-388).また脱水合併時にもGFR低下の
リスクが高くなるので注意が必要である.
小児においてはカテーテル治療が可能な症例はその適応が考慮される384).特に,ACE-I やARBによる治療で降圧効果が不十分な場合や副作用で使用しづらい場合は,積極的にカテーテル治療が考慮される.ただし末梢型の場合はその施行は困難である.
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)