

投与経路・用量・用法(有効血中濃度)
小児用量又は成人用量最大血中濃度
Tmax血中半減期T1/2
主な排泄経路主な副作用
(%) 注意事項・禁忌
経口 1回9g(無水物4g)を水100mL に懸濁し,
1日2~3回吸収されず,糞便排泄
便秘,腹満,AST,ALT 上昇,嘔気・
嘔吐,食欲不振、腸閉塞
禁忌:完全胆道閉鎖,イオバノ酸による胆嚢・胆管造影中
経口 1回1.5g1日2回吸収されず,糞便排泄
便秘,腹満,AST,ALT 上昇,嘔気・嘔吐,腸閉塞,腸穿孔,横紋筋融
解症
禁忌:胆道完全閉塞,腸閉塞
経口 1日10mg,1回又は2回分服,重症:20mg/日1.1時間2.7時間肝障害,血小板減少症,末梢神経障害,横紋筋融解症,ミオパシー
横紋筋融解症が発現しやすいので,腎機能検査異常者へのフィブラート系との併用注意経口 1日1回5mg,最高
20mg/日1.4~3.7時間腹痛, 嘔気・嘔吐,AST,ALT,
LDH,CK上昇, 掻痒, 発疹, 横紋筋融解症,ミオパシー
禁忌:重篤な肝障害,妊婦,授乳婦,イトラコナゾール,御子ナゾール,アタザナビル,サキナビル投与中
経口 1日1回20mgより開始,重症:60mg/日0.83時間1.32時間
胃不快感,嘔気,胸やけ,腹痛,膵炎,横紋筋融解症,ミオパシー,
肝機能障害,過敏症横紋筋融解症が発現しやすいので,腎機能検査異常者へのフィブラート系との併用注意,禁忌:重篤な肝障害,妊婦,授乳婦
経口 1日1回10mgより開始,重症:40mg/日まで0.6~0.9時間9.4~10.7時間
AST,ALT,γーGPT, CK上昇,胃不快感,便秘,胸やけ,めまい,
不眠,頭痛,全身倦怠感,紋筋融解症,ミオパシー,劇症肝炎,肝炎など
禁忌:肝機能障害(急性・慢性肝炎の急性増悪,肝硬変,肝がん,黄疸),妊婦,授乳婦
経口 1日1回1~2mg,4mg/日まで1.7時間10.5時間蕁麻疹, 紅斑, 口内炎,AST,ALT,γーGPT, CK上昇,胃不快感,
嘔気,横紋筋融解症,ミオパシー,黄疸,血小板減少症
横紋筋融解症が発現しやすいので,腎機能検査異常者へのフィブラート系との併用注意,禁忌:重篤な肝障害,胆道閉鎖,シクロスポリン投与中,妊婦,授乳婦
経口 1日1回2.5mg,10mg/日まで4~5時間15.1時間
筋肉痛,掻痒,蕁麻疹,腹痛,便秘,嘔気,無力症,CK上昇,横紋筋融解症,ミオパシー,肝炎,黄疸,過敏症,不動性めまいなど
横紋筋融解症が発現しやすいので,腎機能検査異常者へのフィブラート系との併用注意、禁忌:肝機能低下(急性・慢性肝炎の急性増悪,肝硬変,肝がん,黄疸),妊婦,授乳婦、シクロスポリン投与中
経口 1回250mg,2回/日,1,000mg/日まで18時間56時間QT 延長,不整脈,失神,横紋筋融解症,消化管出血,末梢神経炎,発疹,掻痒,貧血,白血球減少症,肝機能腎機能障害,CK上昇,空腹時血糖,尿酸上昇など
禁忌:重篤な心室不整脈,妊婦経口 1日10mg,1日1回 2.10時間便秘, 下痢, 腹痛, 悪心嘔吐,AST,ALT,γーGTP 上昇,横紋
筋融解症,アナフィラキシ
一般名商品名作用機序剤型適応(小児)(成人)
コレスチラミンクエストラン小腸で胆汁酸を吸着し
糞便中に排泄44.4%散高コレステロール血症
小児等に対する安全性は確立していない.
高コレステロール血症
コレスチミドコレバイン小腸で胆汁酸を吸着し
糞便中に排泄
錠剤:500mg,ミニ83%包
高コレステロール血症,
家族性高コレステロール血症
小児等に対する安全性は確立していない.
高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症
プラバスタチンメバロチンHMG-CoA還元酵素の
阻害薬,水溶性細粒:0.5%,1%,
錠剤:5mg,10mg
高脂血症,家族性高コレステロール血症
小児等に対する安全性は確立していない.
高脂血症,家族性高コレステロール血症
シンバスタチンリポバス
プロドラッグ,HMGCoA
還元酵素の阻害薬,脂溶性
錠剤:5mg,10mg,20mg
高脂血症,家族性高コレステロール血症
小児等に対する安全性は確立していない.
高脂血症,家族性高コレステロール血症
フルバスタチンローコールHMG-CoA還元酵素の
阻害薬,脂溶性錠剤:10mg,20mg,30mg
高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症
小児等に対する安全性は確立していない.
高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症
アトルバスタチンリピトールHMG-CoA還元酵素の
阻害薬,脂溶性錠剤:5mg,10mg
高コレステロール血症,
家族性高コレステロール血症
小児等に対する安全性は確立していない.
高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症
ピタバスタチンリバロHMG-CoA還元酵素の
阻害薬,脂溶性錠剤:1mg,5mg
高コレステロール血症,
家族性高コレステロール血症
小児等に対する安全性は確立していない.
高コレステロール血症,
家族性高コレステロール血症
ロスバスタチンクレストールHMG-CoA還元酵素の
阻害薬,親水性錠剤:2.5mg,5mg
高コレステロール血症,
家族性高コレステロール血症
小児等に対する安全性は確立していない.
高脂血症,家族性高コレステロール血症
プロブコールロレルココレステロールの胆汁中への異化排泄促進作用
細粒:50%,錠剤:250mg
高脂血症(家族性高コレステロール血症,黄色腫)
小児等に対する安全性は確立していない.
高脂血症(家族性高コレステロール血症,黄色腫)
エゼチミブゼチーア小腸でのコレステロー
ル吸収阻害錠剤:10mg
高コレステロール血症,
家族性高コレステロール血症,
ホモ接合体性シトステロール血症
小児等に対する安全性は確立していない.
高コレステロール血症,
家族性高コレステロール血症,
ホモ接合体性シトステロール血症
4 薬物療法の実際(表20)
[適応][用量][禁忌][副作用(有害事象)][使用上の注意事項]を中心にまとめたが,いずれの高脂血症治療薬もわが国では,小児等に対する安全性は確立していないので,成人に関する知見の結果をまとめた.
ホモ接合体治療に関しては,脂質異常症治療ガイド2008年版に記載されている.これによると,スタチンなどのLDL受容体活性化を標的とする薬物療法には反応しない.プロブコールはホモ接合体でも一定の総コレステロール値低下効果(LDL-CとHDL-Cの低下)があり,またそれ以上に皮膚黄色腫の縮小や消失を認める報告がある.LDLアフェレーシスの絶対適応であり,体外循環施行が可能となる4 ~ 6歳が治療開始となる.
ヘテロ接合体に関しては,小児期に冠動脈疾患などの動脈硬化症が臨床的に問題となることはない.しかしながら, 小児期に冠動脈疾患の危険因子, 中でも高
LDL-C血症と肥満を有する患者が,成人の後,IMT,冠動脈石灰化,血管内皮機能の低下を示すエビデンスがあることなどから279)-282),小児期におけるリスクの評価とその対応が重要であると考えられる.
すべての小児において,10歳時までに1 度は血清脂質値を測定してFHのスクリーニングを行い,評価をうけることが望ましい273),283).LDL-C値が140mg/dLを超える例や家族がFHであると診断された例,高コレステロール血症や若年性冠動脈疾患の家族歴のある例については精査が必要である.
10歳以上小児FHヘテロ接合体患者で,6 ヶ月から1年の食事療法や生活習慣の改善によってもLDL-C値の低下が十分でない場合,薬物療法が考慮されることにな
る.小児FHヘテロ接合体患者に対する薬物療法は,LDL-C値を低下させることを目的とする.小児FHヘテロ接合体に対する薬物療法として用いられるのは胆汁酸吸着レジン(コレスチミド,コレスチラミン),スタチン(プラバスタチン,シンバスタチン,フルバスタチン,アトルバスタチン,ピタバスタチン,ロスバスタチン),プロブコールなどであるが,日本においてはいずれの薬剤もoff labelであり小児における安全性が確立されていない.薬物療法の開始時期や薬剤の選択は,LDL-C値やそのほかのリスク(肥満,糖尿病,高血圧)などを考慮にいれながら,個々の症例で判断する.
表20 小児の家族性高コレステロール血症(FH)、ARH, βシトステロール血症への薬物療法
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)