1 導入療法(induction therapy)
 移植後早期には,移植臓器は他己として認識され,それを攻撃する細胞成分や抗体成分が産生される時期であり,いかに移植片(グラフト)を他己として認識させな
いようにするかが重要である.そのため,維持期に比して大量の免疫抑制薬を使用する.Tリンパ球やインターロイキン2受容体に対する抗体製剤を使用したり,大量
のステロイドを使用したりすることが多い.組み合わせは臓器毎に異なるが,カルシニュリン阻害剤(CNI),細胞増殖阻害薬とステロイドの内,2~ 3の薬を併用す
るが,移植後早期は大量に投与し,移植後3 ~ 6か月に向けて減量する.この間に拒絶反応や感染症が多いので,移植臓器の定期的生検,抗ウイルス薬,抗真菌薬,抗原虫薬などの併用が行われる.そのため,免疫抑制薬との相互作用を良く知ることが重要で,抗菌薬の副作用も熟知しておくことが望ましい.
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)