2 診断基準
 新生児の血圧は一様でなく,在胎週数や体重,カフの幅などさまざまな条件を考慮する.特に在胎週数による差異が大きいため,平均血圧が修正在胎週数より低い場合や収縮期血圧が40mmHg未満を低血圧とする報告が多い577),578).(クラスⅡ a)病的新生児においては血圧を観血的に正確に測ることが要求されるが,血圧以外の循環管理指標で血流量をみることが注目されている.血圧と心拍出量との関係は必ずしも正比例しない場合が特に生後24時間以内では多く,これは末梢血管抵抗に左右されるためである579).循環血流量を指標にして循環管理をする方法として,近年,非侵襲的なパルスドプラー法による上大静脈(SVC)の血流測定が注目され,その80%が脳からの還流で,脳の低潅流を鋭敏に示すとされる580).(クラスⅡb)新生児においては出生直後に見られる低血圧の原因は,分娩に関連した出血やショックと,それに起因する心機能不全である.また,生後2日以降の低血圧は早産児に特有な合併症すなわち,NECや敗血症,未熟児PDAに起因することが多くなる.その病態には副腎機能不全が関与し,薬物抵抗性の難治性低血圧となる場合もある577)
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)