11 デクスメデトミジン
[適応]
 成人では集中治療における人工呼吸中および離脱後の鎮静.小児への使用は未承認であるがMRI など検査時の鎮静にも有用である527)-529)

[用量]
 通常,小児では初期負荷投与は行わない.至適鎮静レベルが得られるように0.25~ 1 μg/kg/hrで持続投与する.他の中枢神経系抑制剤との併用によって鎮静・鎮痛作用が増強し,血圧低下,心拍数低下,呼吸数低下等の症状が現れるおそれがある.カルシウム拮抗薬,β 遮断薬との併用で高度徐脈を呈することがある.肝臓で代謝され成人での排泄相T1/2は2.0時間程度,2歳以上の小児も同等である530).肝機能低下症例ではクリアランスの低下が見られる529).また95%が腎臓から排泄されるため腎機能低下症例では代謝産物の蓄積が起こる可能性がある.そのため肝,腎機能障害の患者では投与量を減量することを考慮する529)

[禁忌]
 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者.

[副作用]
 低血圧,高血圧,徐脈を起こすことがある.循環血液量低下症例,交感神経緊張状態の症例では高度な血圧低下を示す危険性が高い.心室細動から心停止を起こすこともある.冠動脈攣縮性狭心症を誘発する可能性がある486)

[使用上の注意点]
 心拍出量が心拍数に依存している状態の小児(新生児など)では注意が必要である.
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)