9 ミダゾラム
[適応]
麻酔前投薬,全身麻酔の導入・維持,集中治療における人工呼吸中の鎮静.
[用量]
低出生体重児,新生児を除く小児の麻酔前投薬としては,0.2~ 1.0mg/kg(通常0.5mg/kg,最大投与量20mg)を経口投与(1~ 6 歳),0.2~ 1.0mg/kg(最大投与量20mg)を注腸(1~ 6 歳),0.1~ 0.5mg/kg(通常0.1~0.15mg/kg,最大投与量10mg)を筋注,あるいは0.2~0.3mg/kgを点鼻する.麻酔導入には0.15mg/kgを静注し,必要に応じ初回量の半量~同量を追加投与する.低出生体重児,新生児を除く小児の集中治療室における鎮静には初回投与量0.05~ 0.2mg/kgを静注する.持続投与は1~ 2 μg/kg/分で行う.低出生体重児,新生児の集中治療室における鎮静は,32週未満で0.5μg/kg/分,32週以上で1μg/kg/分で開始する.他の中枢神経抑制薬との併用やCYP3A4,シトクロムP450 を阻害する薬剤との併用によって作用が増強する可能性がある.半減期は未熟児・新生児で長く,1~ 12歳では成人と同様または低値である486).肝臓で代謝されるが代謝産物は約半分の活性を持つ521).
[禁忌]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者.急性狭隅角緑内障,重症筋無力症のある患者は症状を悪化させるおそれがある.HIVプロテアーゼ阻害剤およびHIV逆転写酵素阻害剤を投与中の患者は作用が増強する可能性がある.ショックの患者,昏睡の患者,バイタルサインの抑制がみられる急性アルコール中毒の患者.
[副作用]
連用により薬剤耐性,薬物依存を生じる.離脱症状を示すことがあるため,投与中止時は徐々に減量する.低血圧,心室頻拍,呼吸抑制,低換気,気道閉塞,譫妄,不随意運動(間代性痙攣,筋性振戦,ミオクローヌス様発作など),運動亢進を生じることがある.悪性症候群を発症することがある.
[使用上の注意点]
新生児の集中治療時の鎮静のためのミダゾラム持続静注は,安全性についてのデータが不十分でありエビデンスが確立したものではない.低出生体重児および新生児に対して急速静脈内投与後,重度の低血圧および痙攣発作が報告されているため急速静脈内投与をしてはならない.6か月未満の小児では,特に気道閉塞や低換気を発現しやすいため,効果をみながら少量ずつ段階的に漸増投与するなどして,呼吸数,酸素飽和度を慎重に観察する.
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)