2 イソフルラン
[適応] 全身麻酔の導入および維持である.厚生労働省医療技術評価総合研究喘息ガイドライン版によるEBMに基づいた喘息治療ガイドラインには喘息の急性増悪において追加治療として記載されているが,National Institute of Healthによる喘息の診断・管理ガイドラインではセボフルランを含む吸入麻酔薬を用いた全身麻酔の適応についての記述はみられない. 新生児,乳児,幼児に対しては適応はない.[用量] 麻酔導入時は,通常,4.0%までの濃度で行うことができる.維持は,通常他の麻酔薬と併用し患者の臨床徴候を観察しながら最小有効濃度で外科的麻酔状態を維持する.小児のMACは,満期産の0~ 1か月児で1.6%,1~ 6ヶ月児で1.87%,6 ~ 12か月児1.8%,1~ 5 歳で1.6%と報告されている486) .成人では1.2または1.8%の本剤を1時間吸入させたときの消失T1/2は第1相T1/2が2.2~ 2.8分, 第2相T1/2が50.2~ 51.0分であった486) .本剤の代謝率は非常に低く成人では平均0.43%が有機および無機フッ素として尿中に排泄される489) .亜酸化窒素,鎮痛薬,硬膜外麻酔の併用はMACを下げる.筋弛緩作用を持ち筋弛緩薬との併用によりその作用時間を延長させる.[禁忌] 悪性高熱症およびその疑いのある患者,悪性高熱症の家族歴のある患者,本剤または他のハロゲン化麻酔薬に対して過敏症の既往歴のある患者.[副作用] 重大なものに悪性高熱,横紋筋融解症,ショック,アナフィラキシー様症状,肝機能障害がある.子宮筋弛緩作用がある.本剤の投与により呼吸が抑制される.心収 縮力は抑制されるが心拍数の増加で代償され心拍出量は変わらない.体血管抵抗を下げるため血圧は低下する.[使用上の注意点] 軽度の気道刺激性があり吸入麻酔薬による導入に適さない.
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)