3 昇圧剤
 昇圧剤のほとんどは,その作用機序によりβ受容体刺激作用を介するものとα受容体刺激作用を介するものとに大別される.血圧のみを上昇させたい場合にはα作用を主とするものを選択し,心拍出量増加による昇圧を期待する場合はβ作用を主とする薬剤を選択する.したがって,β受容体刺激作用を介するものは強心剤として使用されることが多い.本態性低血圧や起立性低血圧に使用される昇圧剤は末梢血管への直接作用を期待したα作用を主とする薬剤となる.塩酸フェニレフリンは蘇生時の循環補助薬として用いられる.その他の薬剤の適応疾患は本態性低血圧,起立性低血圧である.

 α受容体直接作用による昇圧効果を示す薬剤として小児使用の記載があるものは,①塩酸フェニレフリン,②塩酸ミドドリン,③メシル酸ジヒドロエルゴタミンがあ
げられる.また,ノルアドレナリンと競合して交感神経機能亢進により昇圧効果を示すメチル硫酸アメジニウムがあげられる.
1 α受容体直接作用 2 交感神経機能亢進作用
次へ
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)