男子女子
収縮期拡張期収縮期拡張期
小学校
1年107 60 108 60
2年112 63 108 60
3年114 62 111 61
4年116 63 121 66
5年117 63 119 66
6年119 63 119 65
中学校
1年125 66 126 68
2年130 66 126 68
3年136 68 128 70
男児女児
90th 95th 99th 90th 95th 99th
1歳99/52 103/56 110/64 100/54 104/58 111/65
2歳102/57 106/61 113/69 101/59 105/63 112/70
3歳105/61 109/65 116/73 103/63 107/67 114/74
4歳107/65 111/69 118/77 104/66 108/70 115/77
5歳108/68 112/72 120/80 106/68 110/72 117/79
6歳110/70 114/74 121/82 108/70 111/74 119/81
7歳111/72 115/76 122/84 109/71 113/75 120/82
8歳112/73 116/78 123/86 111/72 115/76 122/83
9歳114/75 118/79 125/87 113/73 117/77 124/84
10歳115/75 119/80 127/88 115/74 119/78 126/86
11歳117/76 121/80 129/88 117/75 121/79 128/87
12歳120/76 123/81 131/89 119/76 123/80 130/88
13歳122/77 126/81 133/89 121/77 124/81 132/89
14歳125/78 128/82 136/90 122/78 126/82 133/90
15歳127/79 131/83 138/91 123/79 127/83 134/91
16歳130/80 134/84 141/92 124/80 128/84 135/91
17歳132/82 136/87 143/94 125/80 129/84 136/91
 本ガイドラインでは,小児高血圧の基準値を米国小児高血圧ガイドラインにおける50パーセンタイル身長群の性別・年齢別血圧基準値とした(表23).ただし,低
身長または高身長の場合は今回の基準値よりも収縮期で3 ~ 5mmHg,拡張期で1~ 2mmHg異なる場合がある事を考慮すべきである.

 血圧は測定値により以下のように定義される363)
 ・ 正常血圧:収縮期,拡張期血圧ともに90パーセンタイル未満の場合
 ・ 前高血圧(prehypertension):収縮期,拡張期血圧の一方または両方が90以上から95パーセンタイル未満,または(年齢の90パーセンタイル未満であっても)
  120/80mmHgを超える場合
 ・ 高血圧(hypertension):収縮期,拡張期血圧の一方または両方が95パーセンタイル以上を日または週を変えて3回以上認められた場合
   stageⅠ:収縮期,拡張期の一方または両方が95パーセンタイルから99パーセンタイル+5mmHgの範囲内にある場合
   stageⅡ:収縮期,拡張期の一方または両方が99パーセンタイル+5mmHgを超える場合
2004年に改訂された米国小児高血圧ガイドラインでは,水銀血圧計を用いて測定したNational Health and Nutrition Examination Surveys(NHANES)による過去
の血圧データベースに1999~2000年の測定値を追加し,性別・年齢・身長別に50,90,95,99パーセンタイルの血圧を基準値とした363).2009年の欧州小児高血圧治療ガイドラインでも同ガイドラインの基準を採用している364).
米国のガイドラインにおける血圧基準値は以下で参照できる.http://www.pediatrichypertension.org/BPLimitsChart.pdf

 一方,本邦における高血圧治療ガイドラインでは,小中学生を対象に自動血圧計を用いて測定し性別・年齢別に95パーセンタイル値を血圧管理用基準として示し
360)(表24)

 米国小児高血圧ガイドラインにおける高血圧判定基準と薬物治療開始基準と比較して,本邦では自動血圧計での血圧測定である,身長の影響が考慮されていない,血圧値による明確な治療基準が存在しない点が異なる.

 今回高血圧に対する薬物治療基準を設定するにあたり,血圧値による治療基準が設定されている米国の小児高血圧ガイドラインを参考とした.米国ガイドラインの
50パーセンタイル身長群における性別・年齢別血圧基準値は,本邦の血圧管理基準である性別・年齢別の95パーセンタイル値と比較して,収縮期はほぼ同様である
が,拡張期は10mmHg以上高値である.今後本邦でも身長や測定方法,治療基準を考慮した大規模な検討が必要と考えられる.

参考)血圧測定法363)
・水銀血圧計を用いて聴診法での測定を原則とする.
・ 5分以上の安静後,肘を心臓の高さまで挙上し右腕で測定する.
・ 上腕周囲長の40%以上の幅でカフは上腕周囲の80%以上を囲む長さとし,カフの幅と長さは1:2以上とする.
・ コロトコフ第1音(K1)を収縮期血圧,K5 を拡張期血圧とする.K5 が0 mmHgでも聴取される場合は再度測定し,同様であればK4 を拡張期血圧とする.
・ Oscillometric式自動血圧計で90パーセンタイルを超える場合は聴診法にて再検する.
・ 白衣高血圧や仮面高血圧の鑑別のため24時間自動血圧測定を用いることが推奨される.欧州小児高血圧ガイドラインには24時間自動血圧測定の基準値が掲載
 されている363),364)
2 定義
表23 米国小児高血圧ガイドラインにおける50パーセンタイル身長小児の性別・年齢別血圧基準値363)
                               収縮期/拡張期血圧(mmHg)
身長によって基準値が異なるため、各身長における血圧基準値は文献353を参照.
表24 本邦における血圧管理用の高血圧基準360)
(mmHg)
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)