動脈硬化の発生には,高脂血症(脂質異常症) などの心血管病の危険因子が関連しており,その動脈硬化病変は,小児期・若年期から始まる265).急速な動脈硬化の進展例としては,高LDLコレステロール血症を示す家族性高コレステロール血症(FH)(小児500人中に1人の割合)がある.FHの動脈硬化の進展速度は遺伝的な背景のない高脂血症に比べて早く,それに伴う臓器障害の程度も強いため,高LDL-コレステロール血症に対する治療は動脈硬化予防を目的としたものとなる.小児期にすでに動脈硬化性変化が生じていることは,Bogalusa Heart Study やPathological Determinants of Atherosclerosis in Youth(PDAY)などの剖検所見 からも証明されており,動脈硬化症のリスクの高いFH患者は,小児期からの予防が極めて重要であると考えられている.