2 冠攣縮性狭心症に対する治療
冠攣縮とは,心臓の表面を走行する比較的太い冠動脈が一過性に異常に収縮した状態と定義される.冠攣縮によりほぼ完全に冠動脈が閉塞されると貫壁性の虚血が生じ,心電図上ST上昇を伴う狭心発作が生じる.一方,不完全に閉塞されたり,側副血行路が発達していたりする場合には非貫壁性の虚血が生じ,ST低下を伴った狭心発作が生じる.冠攣縮狭心症は欧米人に比し日本人で多く230),冠攣縮性狭心症確定例と疑い例を冠攣縮性狭心症と診断する.なお,その診断基準は日本循環器学会ガイドライン「冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン」に準拠し231),確定例および疑い例に対し治療を行う.冠攣縮の治療薬の主たる作用機序は血管平滑筋の弛緩作用であり,カルシウム拮抗薬が中心となり,必要に応じて硝酸薬,ニコランジルを併用する.
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)