1 ループ利尿薬
① フロセミド(商品名 ラシックス)(クラスⅠ,レベルC)
ループ利尿薬であるフロセミドはヘンレループの上行脚に作用し,Na+-Ca2+-Cl-共役輸送系を阻害し,Na 再吸収を抑制する.
[成人用量] 40~ 80 mg/日,20mg 静注
[小児用量] 0.5~ 4 mg/kg/日
新生児 1mg/kg/日( PO/IV),
乳児/小児 1~4 mg/kg/日( PO),1~2mg/kg/dose 静注 1日 1~ 4回
点滴0.05~ 0.1 mg/kg/時で開始,0.3mg/kg/時まで.
[小児の薬物動態(PK) ]
T1/2 は未熟児 12~ 24時間,新生児 4 ~8時間,乳児/小児 1~ 2 時間
効果持続 乳児/小児4~ 6 時間
新生児では99%は肝臓から排泄される.小児や成人では50%は肝臓,残りは腎臓で排泄される.腎臓からの排泄が少ないので新生児では半減期が長い.
[副作用]
低K+血症,ジギタリス薬の副作用増大,高尿酸血症,低カルシウム血症,低マグネシウム血症,代謝性アルカローシス,黄疸,Stevens-Johnson症候群などがある.
[使用上の注意事項]
低K+血症に注意する.心室期外収縮が出やすくなるので,K製剤の経口投与をおこなったり,集中治療下ではKの点滴補充をおこなうことがある.またスピロノラ
クトンとの併用も有用である.低Na 血症を認め,治療が必要なことがある.低Cl血症のために代謝性アルカローシスになることがある.
尿へのCa排泄が増加するので,尿路結石の可能性がある.高濃度では腎毒性,感音障害の可能性がある.難聴を防止するために,ボーラス静注でなく持続点滴で投与する,などの注意をはらう.32週未満の未熟児では血中濃度が上がる可能性がある.アミノグリコシドの併用では特に感音障害の発生に注意する.
アルブミンと結合したビリルビンを遊離させる作用があるので,高ビリルビン血症に注意する.
長期使用によりフロセミドに対する抵抗性がでてくることがある.遠位尿細管でのNa と水の再吸収が代償性に亢進するからである.
フロセミドは未熟児動脈管に対するインドメタシンの効果を減弱させる可能性がある.
② ブメタミド(商品名 ルネトロン注射液)(クラス IIa,レベル C)
肝臓と腎臓から排泄され,腎排泄は年齢とともに増加する.
[成人用量] 0.5~ 1 mg/日 静注
[小児用量]
新生児 0.01~0.05 mg/kg/dose( 経口/静注,1日1回~ 2日に1 回),
乳児/小児 0.015~0.1 mg/kg/dose( 経口/静注,1日1~ 4回)
③ トラセミド(商品名 ルプラック)(クラス IIa,レベル C)
ループ利尿薬である.
[成人用量] 4~ 8mg/日,1日1 回,経口
④ アゾセミド(商品名 ダイアート)(クラス IIa,レベル C)
[成人用量] 60mg/日,1日1 回~ 2回,経口
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)