1 定義
 小児においても,心不全の病態は,収縮障害と拡張障害に大別される.成人では収縮障害と拡張障害は半々であるといわれるが,小児での割合は不明である182).収縮障害や拡張障害がなくても,左右短絡による肺血流増加により呼吸障害をきたして心不全様症状となることがある.利尿剤を含めた抗心不全薬の適応となるのは,それらの全てである183),184)

 成人ではNYHA機能分類が多用されている.小児心不全の重症度分類は成人に比べて難しいが,NYHA機能分類の小児適用は,乳幼児を除いては不可能ではな
183).New York University Pediatric Heart Failure Index185)も臨床試験では用いられることがあるが,一般的ではない.

 成人と同じく小児においても,AHA/ACCの心不全分類Stage Bすなわち,無症状でも心機能パラメーターに異常がある場合には,利尿剤を含めた抗心不全薬の適応となることがある.
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)