1 疫学
心不全は欧米をはじめ我が国でも疫学上極めて重要な問題と認識されており,米国では年間90万件の入院,25万件以上の死因を占める.心不全の大部分は成人に発症し,小児期の心不全については今まであまりよく調べられてこなかった. しかし近年の Pediatric Cardiomyopathy Registry のデータでは小児心筋症の発
症率は1.13/10万人/年であり,これらの児の大部分が心不全を発症し,拡張型心筋症においては13.6% /2年が死亡する93).心不全の病因は小児と成人では大きく異なる.小児では認識可能な症候群あるいは遺伝子診断できるものが27%を占め,5%が心筋炎によるとされる.しかし終末期の心不全の最大の病因は先天性心疾患である94).
1987年から1996年にNational Population-based Registry in Australiaに心筋症として登録された小児の5年生存率(移植回避率)は肥大型心筋症で83% 95),拡張型心筋症では64% 96)でしかない.
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)