添付文書FDA
Pregnancy
Category
US NLM
Lactmed
胎児・乳児への影響,副作用
妊婦授乳婦
Ca拮抗薬ジルチアゼムDiltiazem
禁忌授乳を避けるC データが少ないが,経母乳的に摂取する薬物量は僅かで乳児に何らかの有害作用が生じるとは考えられない.
妊婦治療例に関する情報は極めて少なく未確立.健常児の出産例もある.
ベラパミルVerapamil
禁忌授乳を避けるC 1日360mgまでの治療量では,母乳中薬物濃度,哺乳児の摂取量は少なく,乳児に有害作用が現れるとは考えにくい.
限られた情報ではあるが,いくつかの疫学研究では,妊娠中の使用と催奇形性の関連はみられていない.
妊娠後期の使用による児への有害作用はみられていない.
胎児の不整脈治療に妊娠第2三半期,第3三半期に使用した報告が複数ある.
アンジオテンシン
変換酵素阻害薬
(ACE-I)
カプトプリルCaptopril
禁忌授乳を避けるD 母乳中の薬物濃度は低いので,経母乳的に摂取する薬物量は僅かで乳児に何らかの有害作用が生じるとは考えられない.
 妊娠中期及び末期にアンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与された高血圧症の患者で羊水過少症,胎児・新生児の死亡,新生児の低血圧,腎不全,高カリウム血症,頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮,頭蓋顔面の変形等があらわれたとの報告がある.
海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で,妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与された患者群において,胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある.
エナラプリルEnalapril
禁忌授乳を避けるC(1st Trim)
D(2nd・3rd Trim)
母乳中の薬物濃度は低く,経母乳的に摂取する薬物量は僅かで乳児に何らかの有害作用が生じるとは考えられない.
※カプトプリルに同じ
アンジオテンシンⅡ
受容体拮抗薬
(ARB)
ロサルタンLosartan
禁忌授乳を避けるC(1st Trim)D(2nd・3rd Trim)
母乳移行量,哺乳児摂取量に関する情報がない.他の類薬(Captopril,Enalapril)の使用を考慮する.
妊娠中期及び末期に本剤を含むアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤やアンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与された高血圧症の患者で羊水過少症,胎児・新生児の死亡,新生児の低血圧,腎不全,高カリウム血症,頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮,頭蓋顔面の変形,肺の低形成等があらわれたとの報告がある.
カンデサルタンCandesartan
禁忌C(1st Trim)D(2nd・3rd Trim)
母乳移行量,哺乳児摂取量に関する情報がない.他の類薬(Captopril,Enalapril)の使用を考慮する.
※ロサルタンに同じ
バルサルタンValsartan
禁忌授乳を避けるD 母乳移行量,哺乳児摂取量に関する情報がない.他の類薬(Captopril,Enalapril)の使用を考慮する.
本剤を含むアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤並びにアンジオテンシン変換酵素阻害薬で,
妊娠中期~末期に投与された患者に胎児死亡,羊水過少症,胎児・新生児の低血圧,腎
不全,高カリウム血症,頭蓋の形成不全,羊水過少症によると推測される四肢の拘縮,脳,
頭蓋顔面の奇形,肺の発育形成不全等があらわれたとの報告がある.
 海外で実施されたアンジオテンシン変換酵素阻害薬におけるレトロスペクティブな疫学
調査で,妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与された患者群において,胎児
奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある.
添付文書FDA Pregnancy Category
US NLM Lactmed
胎児・乳児への影響,副作用
妊婦授乳婦
抗凝固薬
抗血小板薬
Xa阻害薬
フォンダパリヌクスFondaparinux
有益性投与授乳を避けるB (Lactmedなし) 妊婦治療例に関する情報は少ない.
健常児の出産例もある.
エノキサパリンEnoxaparin
有益性投与授乳を避けることが望ましい
B 限られた情報ではあるが,高分子であり母乳中に移行する量は少なく,哺乳児の
腸管から吸収されることも予想されない.
子宮内で曝露された児に関する研究があり先天性の形態異常の確率はバックグラウンド値と類似していた.
ヘパリンナトリウムHeparin
有益性投与注意記載なし(注意不要)
C ヘパリンに関する研究は無いが,低分子ヘパリンの研究結果から,より高分子であり母乳中に移行する量は少なく,哺乳児の腸管から吸収されることも予想されない.
肺高血圧
治療薬
トラクリアBosentan
禁忌投与しないことが望ましい
X (Lactmedなし) 動物を用いた生殖試験で催奇形性が認められている.
妊婦治療例に関する情報は極めて少なく未確立.健常児の出産例もある.
アンブリセンタンAmbrisentan
禁忌授乳を避けるX (Lactmedなし) 動物を用いた生殖試験で催奇形性が認められている.
シルディナフィルSildenafil
有益性投与授乳を避けるB (Lactmedなし) 動物実験で子宮潅流血漿量を低下させることが報告されている.この報告では,胎仔の低体重,低血圧,頻脈が指摘されている.
妊婦治療例に関する情報は極めて少なく未確立.健常児の出産例もある.
タダラフィルTadalafil
有益性投与授乳を避けるB (Lactmedなし) 類薬で動物実験で子宮潅流血漿量を低下させることが報告されている.
この報告では,胎仔の低体重,低血圧,頻脈が指摘されている.
妊婦治療例に関する情報はなく未確立.
抗菌薬
ベンジルペニシリンBenzylpenicillin
有益性投与授乳中止が望ましい
B 授乳可ペニシリン系抗生物質は妊娠中も安全に使用可能.
バンコマイシンVancomycin
有益性投与授乳を避けるC 限られた情報ではあるが,母乳中に移行する量は少なく,哺乳児の腸管から吸収されることも予想されない.
妊婦治療例に関する情報は極めて少なく未確立.第2三半期,第3三半期に使用した妊婦の児に聴力障害,腎障害はみられていない.
リネゾリドLinezolid
有益性投与授乳を避けるC 授乳婦の情報が少ない.投薬は授乳中止の理由にはならないが,哺乳児の消化器系の副作用に注意する.新生児・未熟児では代替薬(Vancomycin)を考慮する.
妊婦治療例に関する情報は極めて少なく未確立.健常児の出産例もある.
添付文書FDA
Pregnancy
Category
US NLM Lactmed
胎児・乳児への影響,副作用
妊婦授乳婦
スタチン系薬
プラバスタチン
Pravastatin
禁忌授乳を避けるX 母乳移行量,哺乳児摂取量は少ないが,薬物が新生児の脂質代謝を障害する可能
性を考慮すると,授乳婦に投与すべきでないことがコンセンサスである.
他剤(コレスチラミン等)の使用を考慮.
他のHMG-CoA還元酵素阻害剤において,動物実験で出生児数の減少,生存・発育に対する影響及び胎児の
生存率の低下と発育抑制が報告されている.また他のHMG-CoA還元酵素阻害剤において,ラットに大量投
与した場合に胎児の骨格奇形,ヒトでは妊娠3か月までの間に服用した場合に胎児の先天性奇形があらわれ
たとの報告がある.
妊婦に対するスタチン系薬物投与は避ける.
限られたデータとして妊娠中にスタチン系薬に曝露された児に関する疫学研究があり催奇形性はみられなか
った.
フィブラート系フェノフィブラートFeneofibrate
禁忌授乳を避ける記載なし(Lactmedなし) 妊婦に対するフィブラート系薬物投与は避ける.妊婦治療例に関する情報はなく未確立.
ベザフィブラートBezafibrate
禁忌授乳を避ける記載なし(Lactmedなし) 妊婦に対するフィブラート系薬物投与は避ける.妊婦治療例に関する情報はなく未確立.
コレステロール吸収阻害薬コレスチミドcolestimide
有益性投与注意記載なし
(注意不要)
記載なし(Lactmedなし) 本薬は高分子で,母体の腸管から吸収されない.
コレスチラミンcolestyramine
有益性投与注意記載なし(注意不要)
記載なし妊婦・授乳婦の脂溶性ビタミンの吸収不良に留意
本薬は高分子で,母体の腸管から吸収されない.
抗凝固薬
抗血小板薬
Xa阻害薬
ワルファリン
Warfarin
禁忌授乳を避けるX 1日投与量12mgまでのワルファリン治療中であれば,母乳中薬物量,哺乳児の摂取量は少ない.ワルファリン治療中の授乳に関して哺乳児の有害作用は報告されていない.胎盤を通過し,点状軟骨異栄養症等の軟骨形成不全,神経系の異常,胎児の出血傾向に伴う死亡の報告がある.分娩時に母体の異常出血があらわれることがある.
アスピリンaspirin
出産予定日12週以内:禁忌
授乳を避けるD アスピリンは授乳中避けるべき薬剤とされているが,
専門家の一部は低用量アスピリン(75~126mg) は授乳婦の抗血小板薬と考えている.
妊娠期間の延長,動脈管の早期閉鎖,子宮収縮の抑制,分娩時出血の増加につながるおそれがある.
海外での大規模な疫学調査では,妊娠中のアスピリン服用と先天異常児出産の因果関係は否定的であるが,長期連用した場合は,母体の貧血,産前産後の出血,分娩時間の延長,難産,死産,新生児の体重減少・死亡などの危険が高くなるおそれを否定できないとの報告がある.
また,ヒトで妊娠末期に投与された患者及びその新生児に出血異常があらわれたとの報告がある.
チクロピジンTiclopidine
投与しないことが望ましい
授乳を避けるB (Lactmedなし) 妊婦治療例に関する情報は極めて少なく未確立.健常児の出産例もある.
クロピドグレルClopidogrel
有益性投与授乳を避けるB (Lactmedなし) 妊婦治療例に関する情報は極めて少なく未確立.健常児の出産例もある.
ダナパロイドDanaparoid
有益性投与授乳を避けるB (Lactmedなし) 妊婦治療例に関する情報は極めて少なく未確立.健常児の出産例もある.
添付文書FDA
Pregnancy
Category
US NLM
Lactmed
胎児・乳児への影響,副作用
妊婦授乳婦
硝酸薬
硝酸イソソルビドIsosorbide Dinitrate
有益性投与授乳を避けるC (Lactmedなし) 妊娠第3三半期の妊娠高血圧症の治
療に硝酸イソソルビドを用いたとの報告がある
ニトログリセリンNitroglycerin
有益性投与授乳を避けるC 授乳婦への舌下または静注したニトログリセリンと授乳に関する研究がない.
子宮収縮の抑制と分娩の抑制にニトログリセリンを使用し,新生児に有害作用は見られなかったとの症例が複数報告されている
利尿薬
ヒドロクロロチアジドHydrochlorothiazide
有益性投与授乳を避けるB 1日1回50mgまで用量では,授乳中も使用可能と考えられる.高用量の投与は母乳産生を低下させる可能性がある.
治療量のヒドロクロロチアジドと催奇形性との関連はみられなかったとの疫学調査がある.
分娩前の投与により新生児に血小板減少が見られたとの報告がある.
フロセミドFurosemide
有益性投与授乳を避けるC 母乳移行量,哺乳児摂取量に関する情報がない.他の
類薬(Hydrochlorothiazide)の使用を考慮する.
胎児水腫の治療に経母体的あるいは直接フロセミドを投与したとの報告がある.
母体へのフロセミド投与により胎児に利尿作用が認められたとの報告がある.
妊娠中の母親のフロセミド使用と出生時体重の増加に相関が見られたとの疫学調査がある
スピロノラクトンSpironolactone
有益性投与授乳を避けるC 授乳中も使用可能と考えられる.
母乳中活性代謝物(カンレノン)濃度,哺乳児の活性代謝物摂取量は低く,乳児に電解質異常はみられなかったという症例が報告されている.
妊婦治療例に関する情報は極めて少なく未確立.健常児の出産例もある.
エプレレノンEplerenone
授乳を避ける授乳を避けるB (Lactmedなし) 妊婦治療例に関する情報はなく未確立.
スタチン系薬シンバスタチンSimvastatin
禁忌授乳を避けるX 薬剤が新生児の脂質代謝を障害する可能性を考慮すると,授乳婦に投与すべきで
ないことがコンセンサスである.
他剤(コレスチラミン等)の使用を考慮.
ラットでシンバスタチンの活性代謝物(オープンアシド体)及び他のHMG-CoA還元酵素阻害剤の大量投
与で胎児の骨格奇形が報告されている妊婦に対するスタチン系薬物投与は避ける.
限られたデータとして妊娠中にスタチン系薬に曝露された児に関する疫学研究があり催奇形性はみられなかった.
アトルバスタチンAtorvastatin
禁忌授乳を避けるX 薬剤が新生児の脂質代謝を障害する可能性を考慮すると,授乳婦に投与すべきで
ないことがコンセンサスである.
他剤(コレスチラミン等)の使用を考慮.
動物実験で出生児数の減少及び生存,発育に対する影響が認められ,胎児にも生存率低下と発育抑制が認められている.また,ラットに他のHMG-CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎児の骨格奇形が報告されている.更に,ヒトでは,他のHMG-CoA還元酵素阻害剤で,妊娠3か月までの間に服用したとき,胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある.
妊婦に対するスタチン系薬物投与は避ける.
限られたデータとして妊娠中にスタチン系薬に曝露された児に関する疫学研究があり催奇形性はみられなかった.
添付文書FDA Pregnancy Category
US NLM Lactmed
胎児・乳児への影響,副作用
妊婦授乳婦
β遮断薬
プロプラノロールPropranolol
緊急以外投与しないことが望ましい
授乳を避けるC 母乳中の薬物濃度は低く,経母乳的に摂取する薬物量は僅かで乳児に何らかの有害作用が生じるとは考えられない.また,哺乳児に関する研究でも直接的な有害
作用はみられていない.
新生児の発育遅延,血糖値低下,呼吸抑制が認められたとの報告あり
アテノロールAtenolol
有益性投与授乳を避けるD 母乳移行性が高く,腎機能が未熟な2か月未満の新生児
では影響が出やすいので,他のβ 遮断薬(Propranolol,Metoprolol)が望ましい.
胎児の発育遅延が認められたとの報告がある
新生児に低血糖,徐脈があらわれたとの報告がある
メトプロロールMetoprolol
禁忌授乳を避けるC 母乳中の薬物濃度は低く,経母乳的に摂取する薬物量は僅かで乳児に何らかの有害作用が生じるとは考えられない.哺乳児に関する研究でも直接的有害作用はみ
られていない.
メトプロロールはβ遮断薬であり,β遮断薬は胎盤還流血漿量を減じて,胎児死亡,早産,低出生体重を引き起こす可能性がある.(UK添付文書)
αβ遮断薬
ラベタロールLabetalol
有益性投与授乳を避けるC 母乳中の薬物濃度は低く,経母乳的に摂取する薬物量は僅かで乳児に何らかの有害作用が生じるとは考えられない.
胎児に徐脈等,新生児に血圧低下,徐脈等の症状が認められたとの報告がある
強心薬
ジゴキシンDigoxin
有益性投与注意記載なし(注意不要)
C ジゴキシン内服治療中で母体血中濃度が治療域にある場合の母乳中薬物濃度は低
く比較的安全に授乳できるとの報告がある.
ジゴキシンは妊婦に使用可能だが,妊娠した患者の血漿量の増加,蛋白結合の低下,腎排泄の増加により投与量の調節が必要になる可能性がある.
その他の降圧薬
ヒドララジンHydralazine
有益性投与授乳を避けるC 限られた母乳中薬物濃度と哺乳児のデータではある
が,長年周産期の母親に使用されてきており授乳婦の降圧薬として処方可能と考えられている.
新生児に血小板減少等を起こすおそれがある
メチルドパMethyldopa
有益性投与授乳を避けるB 母乳中の薬物濃度は低く,経母乳的に摂取する薬物量は僅かで乳児に何らかの有害作用が生じるとは考えられない.
新生児に浮腫による著しい鼻閉を生じたとの報告がある
Ca拮抗薬
ニフェジピンNifedipine
20W未満
禁忌
20W以降
有益性投与
授乳を避けるC 母乳中の薬物濃度は低く,経母乳的に摂取する薬物量は僅かで乳児に何らかの有害作用が生じるとは考えられない.哺乳児に関する研究でも直接的有害作用はみ
られていない.
20W以降:急激かつ過度の血圧低下とならないよう,長時間作用型製剤の使用を基本とし,過度の血圧低下や胎児胎盤循環の低下等の異常に適切に対処
アムロジピンAmlodipine
禁忌授乳を避けるC 母乳移行量,哺乳児摂取量に関する情報がない.他の類薬(Nifedipine)の使用を考慮する.
動物実験で妊娠末期に投与すると
妊娠期間及び分娩時間が延長
添付文書FDA Pregnancy Category
US NLM Lactmed
胎児・乳児への影響,副作用
妊婦授乳婦
抗不整脈薬
アミオダロンAmiodarone
投与しないことが望ましい
授乳を避けるD 母乳中への薬物・代謝物・ヨウ素の移行があり,乳児心機能,甲状腺機能への影響が考えられる.
妊娠中にアミオダロン投与を受けた母親の児に,先天性の甲状腺腫,甲状腺機能低下症,あるいは甲状腺機能亢進症の報告がある.
継続投与された後出産した母体及び新生児の血漿中濃度から胎盤通過率は約26%と推定されている.
ジソピラミドDisopyramide
投与しないことが望ましい
授乳を避けるC ジソピラミド治療中の授乳婦の乳児の血中薬物濃度が母体の10%程度に及んだとの報告がある.哺乳児への抗コリン作用の発現,母乳分泌への
影響が想定される.
ジソピラミドと代謝物N⊖モノデスアルキルジソピラミドが人母乳から検出されている.RIDは10%以下で,哺乳児の血中薬物濃度は母体の7.5%程度との報告がある.
妊婦に投与した例において子宮収縮が起こったとの報告あり
フレカイニドlecainide
禁忌授乳を避けるC 母乳中の薬物濃度は低く,経母乳的に摂取する薬物量は僅かで乳児に何らかの有害作用が生じるとは考えられない.
妊娠母体の不整脈治療,胎児不整脈の治療にフレカイニドを経母体的あるいは直接的に胎児に投与した症例が報告されている.治療成功例と胎児死亡例(関連不明)が報告されている.
新生児期の心電図にフレカイニドの影響が認められた症例が報告されている
リドカインLidocaine
有益性投与注意記載なしB 母乳中の薬物濃度は低く,経母乳的に摂取する薬物量は僅かで乳児に何らかの有
害作用が生じるとは考えられない.
母体へのリドカイン静脈投与により胎児の不整脈治療に成功した事例が報告されている.
プロカインアミドProcainamide
有益性投与
活性代謝物
N⊖ アセチルプロカインアミド
授乳を避けるC 1日2gまでの治療量では,母乳中薬物濃度,哺乳児の摂取量は少なく,生後2か月以降の乳児に有害作用が現れるとは考えにくい.
母乳のみで育てる場合,乳児毒性への懸念を排除するために児の血中濃度測定を含む慎重なモニタリングを
行うべき.
妊娠第2・3三半期の母体へのプロカインアミド投与により胎児の不整脈治療が行われたことが報告されている.
プロパフェノンPropafenone
有益性投与授乳を避けるC 1日900mgまでの治療量では,母乳中薬物濃度,哺乳児の摂取量は少なく,生後2か月以降の乳児に有害作用が現れるとは考えにくい.
母親あるいは胎児の不整脈治療にプロパフェノンを用いたとの報告がある
ソタロールSotalol
投与しないことが望ましい
授乳を避けるB 母乳移行性が高く,腎機能が未熟な2か月未満の新生児では影響が出やすいので,特に新生児・早産児では他のβ 遮断薬(Propranolol,Metoprolol)が望ましい.
いくつかの文献の著者は,授乳婦にソタロールの投与が必要な場合は,β遮断作用の発現に関して緊密にモニタするよう勧告している.
妊娠第2・3三半期の母体ソタロール投与により胎児の不整脈治療が行われたことが報告されている.
母体の不整脈治療にソタロールと他の不整脈薬を併用したとの報告がある
1 FDA Pregnancy Category(
表2
 (Drug Information for the Health Care Professsionals:USDPI Vol.1 Micromedex 23rd edn., 01.01.2003)このカテゴリーは一番安全なAから,危険として知られ,使用してはいけないXまでが含まれており,妊娠中および授乳中の女性に適応される.

 米国医薬食品局FDAによる薬剤胎児危険度分類基準であり,下の5つのカテゴリーに分類されている.

A: ヒト妊娠初期3か月間の対照試験で,胎児への危険性は証明されず,またその後の妊娠期間でも危険であるという証拠のないもの.
B: 動物生殖試験では胎仔への危険性は否定されているが,人妊婦での対照試験は実施されていないもの.あるいは,動物生殖試験で有害な作用が証明されて
  いるが,ヒトでの妊娠初期3 か月の対照試験では実証されていない.また,その後の妊娠期間でも危険であるという証拠のないもの.
C: 動物生殖試験では,胎仔に催奇形性,胎仔毒性,その他有害作用があることが証明されており,ヒトでの対照試験が実施されていないもの.あるいは,ヒト,動物
  ともに試験は実施されていないもの.ここに分類される薬物は,潜在的な利益が胎児への潜在的危険性よりも大きい場合に使用すること.
D: ヒト胎児に明らかに危険であるという証拠があるが,危険であっても,妊婦への使用による利益が容認されるもの.例えば,生命が危険に曝されているとき,
     または重篤な疾病で安全な薬物が使用できないとき,あるいは効果がないとき,その薬物をどうしても使用する必要があるとき.
X: 動物またはヒトでの試験で,胎児異常が証明されている場合,あるいはヒトでの使用経験上胎児への危険性の証拠がある場合,またはその両方の場合で,
     この薬物を妊婦に使用することは,他のどんな利益よりも明らかに危険性の方が大きいもの.

 ここに分類される薬物は,妊婦または妊娠する可能性のある婦人には禁忌である.
表2 妊婦・授乳婦薬物療法に関する公的情報と文献情報
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)