2 処方せん記載方法の標準化と臨床薬理的視点
従来,内服薬の処方せんの記載は,①1日分量と,②(用法・用量として)1回当たりの服用量,1日当たりの服用回数,服用時点の明示と投与日数の記載が求められていた.しかし,1日分量の分割方法の記載が標準化されていない(例,1日3 回に分割投与の指示には,×3,3 ×,分3などが慣用されている)ため,本来は1 日分
量を3分割すべき指示が,誤って3倍量調剤されてしまうなどの医療安全上の問題が生じている.このため,平成22年の「内服薬処方せんの記載方法のあり方に関す
る検討会報告書」3)では,処方せんの記載方法を②の記載法に標準化すべきであると提言している.
臨床薬理的な観点からは,処方せんにおける①1日分量記載法は,その基礎に薬物の必要量を「投与量─効果関係」としてとらえる思想が背景にあるが,②用法・用量の記載は1 回当たりの服用量により生じる体内薬物量(血中濃度)の最大・最小値と,1日当たりの服用回数で規定される薬物濃度の時間経過を意識した「投与量─血中濃度─効果関係」の思想が背景にある.この意味から上記検討会の提言は,単に医療安全上の養成から記載方法の標準化するだけでなく,薬物療法を臨床薬理学的の観点から考える大きな意義がある.
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)