薬理作用分布感受性作用部位組織薬物分子遊離形
赤血球血漿血漿蛋白結合形薬物血中濃度モニタリング
(TDM)肝代謝薬物動態酸化・還元・抱合血漿蛋白結合置換
経口投与代謝阻害・誘導吸収阻害極性基代謝体親水性
腎排泄糸球体濾過腎尿細管分泌阻害尿中未変化体排泄率(Ae)Log血液中薬物濃度時間半減期:t1/2CmaxCmin
定常状態
1 臨床薬理学的な観点に基づく薬物療法の考え方
 従来から薬物療法は「投与量─効果・副作用関係」に基づいて考えられてきた.しかし,投与された薬物が血液により作用部位に送達され効果を発揮するまでの動的過程(体内薬物動態:pharmacokinetics, PK)が研究されると,この過程には大きな個人差があることが判明し,PK の個人差が効果や副作用発現の個人差の原因となることが明らかとなった1)

 また,血液中の薬物濃度と応答性の関係に基づいて,薬物の標的分子(酵素,受容体など)レベルでの応答性の個人差(薬力学,pharmacodynamics, PD)を検討できるようになった(図1)

 小児においては,特に新生児から乳児期に薬物代謝や排泄に関係する肝・腎機能に大きな発達変化が生じるため成人の薬物療法にもまして臨床薬理学的な観点に基づいたアプローチが重要である.
図1 薬物の応答性を支配する薬物動態と感受性の関係(文献2より引用)
次へ
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)