1 病態
 正常児では出生後,第一啼泣とともに肺でのガス交換が始まり,急速に肺血管抵抗と肺動脈圧が低下することで肺循環が成立する.しかし,さまざまな理由で胎児期と同等の肺高血圧が遷延すると,胎児循環と同様に卵円孔または動脈管を介して右左短絡を呈しチアノーゼの原因となる592).発生頻度は1~2/1000出生と言われ,早産児より正期産児,過期産児に多い593).基本病態は肺動脈の小動脈中膜肥厚であり,そのために出生後も肺高血圧が遷延する.低酸素,アシドーシス,エンドセリン-1(ET-1)やトロンボキサンなどの炎症メディエーターが肺血管収縮作用を持つ593)
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)