3 小児の病態と臨床的特徴
 以前はリウマチ熱に伴うものや化膿性心外膜炎が多かったが,現在はウイルス性のものや川崎病や膠原病等の全身疾患に伴うものの割合が増えている455).先天性心疾患の手術後にみられる心膜切開症候群も心外膜炎の一つである.収縮性心外膜炎は小児では稀である.

 胸痛,心膜摩擦音,心電図変化が従来の三大徴候である.胸痛は前胸部から左肩,背部に放散する突き刺すような鋭い痛みで,仰臥位で増強し,座位や立位,特に前傾位で軽減する.咳嗽,発熱,腹痛,嘔吐,呼吸困難を認めることがある.

 診察所見としては心膜摩擦音(friction rub)を聴取する.しかし,心嚢液の貯留が多いと聴取されないことがあり,この場合は心音も減弱する.末梢の脈は脈圧が狭
く,血圧測定において奇脈を呈することがある.肝腫大,静脈の怒張を認める.

 胸部X線では心嚢液の貯留が多いと“みずがめ”状の心拡大を認めることがある.心電図ですべての誘導の低電位,電気的交互脈,ST上昇を認める(クラスⅡ).心
エコー検査が心嚢内液貯留の診断に最も有用である(クラスⅡ).
次へ
小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)