3 おわりに
 我が国では1999年にエポプロステノールが承認され,PAHの予後は改善傾向にある.さらに近年,有望な治療薬の臨床使用が可能になり,治療の選択肢が増えたことも事実である.しかし,PAHが難治かつ進行性である疾患に変わりなく,特にFC- Ⅲ~Ⅳの重症例では専門施設による治療開始と慎重な観察が求められる.最大の内科治療にも抵抗を示す症例では肺移植を考慮すべきであり,患者家族へのインフォームドコンセントと適切な時期での移植施設への照会は必須であろう.小児への適応は現在臨床試験中の薬剤が多く,エビデンスに乏しい.成人の報告を参考に使用されており,小児に対してはすべての薬剤が未承認である.
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)