3 小児の病態と臨床的特徴
 川崎病は小児期に好発する原因不明の急性熱性疾患で,その病態は中型動脈を中心とした全身性の血管炎症候群である.特に冠動脈に強く血管炎が惹起され,無治療では約25%に冠動脈病変が形成される.疫学的見地から何らかの感染症が原因で,感染症を契機に起こった免疫反応によって高サイトカイン血症が引き起こされるサイトカイン関連疾患と考えられており,血管炎をより早期に終息させることが冠動脈のリモデリングを抑制し冠動脈病変合併を抑制するために重要である200).また人種によって罹患率が異なること,発症頻度に性差があること,同胞例が1~ 2%にみられること,川崎病多発同胞例や親子例があることなどから何らかの遺伝的素因が発症に関与していると考えられている.近年,疾患感受性遺伝子や治療反応性に関連する遺伝子多型が報告されている201)
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小児期心疾患における薬物療法ガイドライン
Guidelines for Drug Therapy in Pediatric Patients with Cardiovascular Diseases ( JCS2012)